坐骨神経痛は「痛み」のみならず「シビレ」まで感じることが多いため、実に陰湿で不快な症状です。
原因の第一位は椎間板ヘルニアであると言われておりますが、実は違います。
たまたまレントゲンを撮ると、ヘルニアが発見され、それが原因とされてしまいますが、そのような人でも全く痛みもシビレも感じず、日常生活を過ごしている例もあるのです。
ですから、坐骨神経痛の原因はヘルニアが第一義的なものではなく、別のところに原因を求めねばなりません。
ズバリ、この原因は殿部筋群の筋筋膜痛由来のものが大半を占めるのです。
その中でも小殿筋という最深部にある筋肉はダメージを受けやすく、お尻、太もも外側、下腿部の外側にも痛みを送りますし、お尻から太ももの裏~ふくらはぎに痛みを送ることもあります。
しかし、この筋が単独原因の場合は比較的対処がしやすく、場合によっては一回の施術で改善されます。
もう一つの原因。
梨状筋(りじょうきん)という筋肉が原因の場合は、少し時間がかかります。
普通、坐骨神経はこの筋肉の下を通って下肢へ向かっているのですが、かなりの頻度でこの筋肉そのものの真ん中を貫いて坐骨神経が出ている場合があります。
たまたま、生まれつきこういう形態の坐骨神経を持っている場合で、梨状筋が硬くなり、症状が出ているときは、小殿筋が原因のときよりもすこし厄介です。
時間がかかるにせよ、手術する必要はありませんし、決して痛いのを我慢しなければならない施術を施すわけではありませんから、諦めず、施術を受けてもらいたいと思うのです。
因みにこのような病態を梨状筋症候群というのですが、男性よりも女性のほうが6倍も多いという統計が出ています。
ですから、女性の方で、しつこく頑固な坐骨神経痛に悩まされている方はこの病態の可能性があるわけです。
施術自体にコツがありますから、どこでも治せるというわけではありません。
また長年の病歴の持ち主は原因が複数あって、難儀することもありますが、一つ一つ原因を除去していくことによって、改善可能ですし、実際、改善されていってる方が多数いらっしゃいますので、諦めないでほしいと思います。
※MRI所見でヘルニアが脊髄神経に三分の一以上、食い込んでしまっている方は、手術せざるを得ないでしょう。泌尿器系に重大な問題が起きる可能性がありますので、医師の判断に委ねるのが賢明です。