世の中には性質(タチ)の悪い整体学校があります。
(1)
ちょっと前まで「整体はもうすぐ国家資格になる。今、ウチで資格を取っておけば、資格試験が免除されるからチャンス」という謳い文句で募集をかけているスクールがありました。
我々から見れば、こんなことは200%あり得ない話なのですが、大真面目な顔で説明されると、素人だと、つい信じてしまうのでしょうね。
訴訟沙汰になって、未だ裁判をやっている学校もあります。
常識的には詐欺なんですけれども、詐欺罪を適用するには「騙す意志があった」と立証せねばなりません。
「騙すつもりなど毛頭なかった、私達もそう信じていた」と言い張れば、無罪です
悪質ですね。
あとは民事で授業料返還訴訟を起こすしかないのですが、これも言った言わないの話になるので、泣き寝入りするケースが多いのです。
(2)
犯罪ではありませんが、巧妙なトリックで募集するスクールもありました。
「今、申し込めば奨学金を支給します。最高50万円まで!」
内容をよく見てみると、授業料80万円のところ奨学金支給の分、相殺で、30万円になる・・・ということでした。
ホントの授業料が80万円なら、文句をつける筋合いのものではありませんが、それ以前の多くの卒業生達に聞いても、もともと授業料は30万円だっと言います。
ということは勝手に授業料を80万円に吊り上げて、奨学金50万円という引っ掛け言葉で釣ろうという魂胆なわけですよ。
よくもまあ、こんな悪知恵が働くものだなぁ、と。
というか、そういうことを思いついても普通は実行に移さないものですよ。最初の例よりは酷くありませんが、でも悪質な部類です。
(3)
さて、表題にあります「厚生労働大臣認可」。
これを謳い文句にしているところは少なくありません。
あるとき、ある整体スクール卒業生と話す機会があって、愕然としたことがあります。
その人曰く
「私が卒業したスクールは整体スクールの中では唯一厚生労働大臣が認可した学校です!」と、どや顔で主張するわけです。
(いや~出たよ~また出た。勘違い人間だ・・っていうか勘違いさせるスクール)
しかし、ここまで鮮やかに勘違いさせる学校も珍しい。
その人は教育レベルの高い人なんですよ。
その人にしてコロっと騙されるのですから、大概の卒業生はそれを信じているんでしょうね。
カラクリはこういうことです。
協同組合という組織形態がありますでしょ。
有名なのは農業協同組合、漁業共同組合。
略して農協とか漁協とか言われる組織です。
これくらいになると、連合体としては巨大な組織です。
実は組合組織というのは、ある法律に則って、正式な手続きを踏めば誰でも作ることができます。(これが盲点)
組合員の便宜を図るために共同で物品等を購入する際に、法人格が与えられてとても便利なんですね。
株式会社と違うのは、株主がいないということと、営利を目的としないということでしょうか。
しかし、実際には生協(市民生活共同組合)が主宰するスーパーマーケットもイオンが主宰するスーパーマーケットも、売上を上げるのに必死ですよ。
つまり、株式会社と大した違わないわけです。
ここまで書けば分かってくれると思います。
そうなんです。
卒業生(整体師)を組合員にして、別枠で組合を設立するわけですね。
その所管官庁が厚生労働省ですから、形としては厚生労働大臣が認可して、その組織が正式に発足するというわけ。
物品購入等、組合員の利便性に資するということで認可されるものです。
ですから、その整体学校・スクールを厚生労働大臣が認可したとか、ましてやその技術や営業にお墨付きを与えたという意義は塵ほどもありません。
現在、ネットで調べれば、いくらでも安いもの(タオルでも施術ベッドでも、施術関連商品でも)が手に入ります。
ですから、組合を作るメリットはあまりありません。
あるとすれば、学校側が生徒や入校希望者にあたかも厚生労働省が正式認可したかのようなイメージを与えて、生徒募集の道具にできる、ということくらいです。
日本は官尊民卑の国ですから、一方で官僚批判しながら、実際の行動では官庁が絡んでいるとなんとなく信用できそうな感じがするという国民性をうまく利用しているわけですね。
役所から何回か指導が入って、そういう表現をするな、という通達が出ているはずなのですが、現場では無視されるんでしょうね。
生徒募集のノルマがあるでしょうから。
組合を作るのは悪くないですよ。
それなりに手間もかかるし、お金もかかるし。
それでホントに卒業生の便宜を図れるなら、立派なことだと思います。
しかし何度も言いますが、それをもってして厚生労働大臣が認可した云々というのは完全に営業トークのレベルを超えて、詐欺に近い。
誤解を与えるような表現でそれを謳い文句にしているスクールはマトモではありません。
以上、マトモではない表現のベストスリーでした。
まとめましょう。
●近々、国家資格になる云々
●奨学金支給・・云々
●厚生労働大臣認可・・云々
このうちどれか一つでも当てはまれば、避けて通るのが賢明です。